企業の総会屋グループへの利益供与及び不正行為に関する声明供

去る7月14日、大手企業の幹部社員が株主総会対策として総会屋グループに巨額の金員を交付したとして利益供与罪により逮捕された。新聞報道によると、これらの供与を受けた総会屋グループは指定暴力団の構成員もしくは指定暴力団と深い関係があると報道されている。


一方、ゼネコンの自治体汚職は更に拡大する様相を見せており、建設業界の公共工事をめぐる汚職は、構造的な性格をうかがわせるものがある。


経団連は、去る1991年9月、経済犯罪など不公正な行為を企業の経営者が強い意志で防止しなければならないとして、企業行動憲章15原則を発表し、暴力団や総会屋など反社会勢力との癒着を断つとともに、公正で透明な企業行動の実現を宣言したが、このような不祥事が後を絶たないのはまことに残念である。


日本経済の健全な発展のためには、公正で正当な企業行動が求められており、それがわが国の民主主義を守るための基盤であることを指摘したい。


当連合会は、企業に対し、その社会的責任の重要性に鑑み、不正行為の防止と暴力団など反社会勢力を利用することのないよう強く求めると共に、今後も民事介入暴力の根絶に向けて一層の活動を続けていく決意であることを表明する。


1993年(平成5年)7月23日


日本弁護士連合会
会長 阿部三郎