伊丹十三氏に対する暴力事件について

去る5月22日、映画監督の伊丹十三氏が自宅前で暴漢に襲われ、重傷を負うという事件が発生した。


伊丹氏は、民事介入暴力の横行に警鐘をならし、その効果的な対策を一般に普及するための映画『ミンボーの女』を制作したことで知られている。伊丹氏を襲った暴挙がこの映画の制作及びこれに関連した同氏の発言に起因するものとすれば、民事介入暴力の排除に立ちあがっているわれわれ弁護士会及び暴力追放運動を推進する各地の住民組織に対する許しがたい挑戦であるといわなければならない。


この種の事件の再発を防止するため、今回の襲撃事件については警察による厳重なる捜査が行われ、犯人の割り出しとその動機についての徹底的な解明がなされるよう要請する。


また、日本弁護士連合会としても、従前にもまして強い決意をもって、民事介入暴力対策に邁進する所存であることをあらためて表明するものである。


1992年(平成4年)5月25日


日本弁護士連合会
会長 阿部三郎