「佐川公判」に関して

当連合会は、いわゆる「佐川公判」における検察官調書の朗読をめぐって、担当検事の告訴、担当裁判官の訴追、検察官適格審査、更には、検察官監察制度設置等の示唆などが次々に表明される今回の一連の事態に対し、深く憂慮する。


これら司法に向けた一連の動きは、司法の独立に対する露骨な介入、圧迫というべきであって、三権分立制に立つわが国の憲法上、断じて許されないところである。


当連合会は、司法の一翼を担う立場から、かかる異常な事態のすみやかな解消を求めるとともに、国民の期待に応え、憲法・刑事訴訟法の原点を踏まえて、法務・検察においては毅然たる検察権の行使を、また裁判所においては厳正な裁判権の行使を、強く期待するものである。


以上声明する。


1992年(平成4年)11月13日


日本弁護士連合会
会長 阿部三郎