日産サニー事件再審開始決定について

本日、福島地方裁判所いわき支部は、齋藤嘉照氏の請求を認め、再審開始の決定を下した。


齋藤氏は、24年前、虚偽の証拠により日産サニーいわき営業所宿直員殺しの犯人として逮捕され、無期懲役の判決を受け、長きにわたり名誉と自由を奪われ続けてきた。


日本弁護士連合会は、この誤った裁判に抗議し無実を主張し続け、遂に今日、雪冤の扉を開かせた齋藤氏と弁護団の努力に敬意を表し、齋藤氏の無実を信じて長い間同氏を支えてこられたご家族、支援の方々や事実解明に協力された報道関係者にも深く感謝の意を表すものである。


また、この再審請求審において裁判所は、審理の適正・公正の上から公開が望ましいとして証人尋問を公開の法廷で行うなど、これまでの再審裁判では見られない積極的姿勢で審理にのぞまれたことにも敬意を表する次第である。


人権擁護委員会の中に事件委員会を設置し、「無辜の救済」に取り組んできた日本弁護士連合会としては、今日のこの決定により、冤罪者の救済が大きく前進した意義を高く評価するとともに、冤罪に苦しむ人々が1日も早く救済され今後このような冤罪が二度と起こらないよう、再審に関する立法と運用の改善、自白を強要する代用監獄の廃止、当番弁護士制度の充実などの刑事手続の改革・改善の活動を一層充実・発展させて刑事手続を抜本的に改革するために全力を尽す決意である。


最後に、検察官には、本日の決定を謙虚に受けとめ、上訴することなく速やかに本件を再審公判に移行させるよう強く要望すると同時に、齋藤氏が1日も早く青天白日の身になるよう日本弁護士連合会は、今後も、最大限の努力を尽すことを誓うものである。


1992年(平成4年)3月23日


日本弁護士連合会
会長 中坊公平