拡声機による暴騒音の規制に関する条例成立について

拡声機は、市民が大衆にアピールする際に容易に利用し得る重要な表現手段である。その使用を条例でこのように厳しく制限するのは言論・表現の自由に対する配慮が足りないと言わざるを得ない。特に駅前や繁華街までも一律に、音源から10m地点で85デシベルという、通常の使用で容易に達し得るレベルで規制している点で規制の基準が厳し過ぎ、防止措置命令等について警察官にほぼ白紙で委任し、その命令違反について懲役刑を含む刑罰で臨んでいる点で制裁が厳しすぎる。前文を付加することで恣意的運用を抑制しようとしたことは一応評価できるが、これによってこの条例の問題点がクリアーされたとは言えない。運用における慎重さを切に望むとともに、一定期間経過後の見直しを求めたい。


1992年(平成4年)10月8日


日本弁護士連合会
事務総長 堀野紀