少年事件の報道について

本年7月8日東京都目黒区内で発生した両親・祖母殺人事件の容疑者として逮捕された少年に対する警察の取調べ結果は、その供述の変遷の詳細を含め、逐一、新聞、テレビ、週刊誌などを通じて報道され、中には興味本位に取り上げるものまで生じている。


これは、将来性ある少年の名誉を保護し、社会生活に支障をもたらさないよう配慮し、少年審判を非公開としている少年法第22条第2項、また記事等の掲載の禁止を定め、少年事件の内容の公表を抑制している同法第61条、犯罪捜査規範第206条、少年警察活動要綱第10条第2項などの趣旨を踏みにじるものである。


当会は、今回の報道が少年の人権を侵害するとともに、公正な少年審判にも影響をもたらすことを危惧し、主要な情報源である捜査当局に対し、反省を求めるとともに、今後の情報の提供を慎重にされるよう強く要望する。


1988年(昭和63年)7月29日


日本弁護士連合会
会長 藤井英男