拘禁二法案が継続する臨時国会の開会にあたって

拘禁二法案(関連法案を含む)は、前国会の会期末に、提案理由の説明が、衆議院の法務・地方行政・運輸の各委員会で行われ、次期国会に継続することになった。そして、今度の臨時国会で実質審議に入る動きが危惧される。かかる事態は、代用監獄の恒久化をめざすなど余りに問題の多い両法案の再提出に反対し、種々の活動を通じて、出直しを求めてきた当連合会として、誠に遺憾である。


この間、自白の強要と人権侵害の温床である代用監獄の弊害は、減少するどころか、取調べと管理の両面において一層深刻となっている。接見交通権の侵害も、目に余るものがある。


法案は、この上さらに、人権侵害を拡大し、被疑者、被告人の防御権を危うくするものである。代用監獄を中心とするこのような問題のある法案への国際的関心も高まりつつある。


当連合会は、代用監獄の早期廃止、執務時間などによる接見交通権の制限撤廃、規律秩序の強化を是正することなどの実現を期して、今後も法案に反対する従来の方針を堅持し、併せて、法案の徹底的検討によりこれらの根本的問題点が究明され、真に近代化、法律化、国際化と呼びうる法案に抜本的に改められるよう求める。


そのために、われわれに託された刑事司法の改善と人権擁護の使命を最後まで全うするつもりである。


1988年(昭和63年)7月18日


日本弁護士連合会
会長 藤井英男