拘禁二法案の審議継続にあたって

拘禁二法案の審議が、全野党の反対にもかかわらず、今国会の会期末ぎりぎりに、衆議院の法務・地方行政両委員会で開始され、しかも、本日再び、野党の反対を押し切って、次期国会に継続することがきまった。代用監獄の恒久化をめざすなど余りに問題の多い両法案の再提出に反対し、数次の国会要請、市民集会、全国統一行動旬間など種々の活動を通じて、出直しを求めてきた当連合会として、かかる事態は誠に遺憾というほかない。


法案の審議促進をはかるため、今国会の会期中、法務・警察当局において、当連合会が法案提出に同意したとか、法案を高く評価しているとか、ことさらに事実を歪曲して宣伝し、さらに保護・矯正関係諸団体に国会請願を指示し、果ては青少年のスポーツ団体にまで同様の活動を要請するにいたった。このようなことは異例であるばかりか、行政当局のあり方に照らして、批判を免れないだろう。


拘禁二法案対策本部は、両法案に反対する当連合会の一貫した方針に則り、決意を新たにして、ひきつづき代用監獄の早期廃止、執務時間などによる接見交通権の制限撤廃、規律秩序の強化を是正することなどの実現を期すべく、法制審議会や意見交換会の再開による法案の出直しを求めるとともに、法案の徹底的審議によりこれらの問題点が究明されることを要求していく。


国会と国民の皆様にご理解とご協力を願うものである。


1988年(昭和63年)5月25日


日本弁護士連合会 拘禁二法案対策本部
事務局長 西嶋勝彦