訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律の成立にあたって

本日、「訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律」が国会で可決され成立した。


訪問取引に対する法規制の充実強化は、かねてより当連合会が求めてきたところであり、本改正法が行為規制の強化に一歩踏み出したことやクーリングオフを現金取引にも適用する旨を明確にしたことなどは、消費者保護に向けて一歩前進と評価できる。


しかし、登録制などの開業規制を採用しなかったこと、かねてより批判の強い政令指定制を維持したこと、行為規制の実効性確保に不可欠な消費者取消権などの民事効果の導入を見送ったことなどは、多発する訪問取引被害の救済と防止という観点からは極めて不十分であり、誠に遺憾といわざるを得ない。


本改正法は、適用対象・禁止行為などの具体的事項の多くを政令・省令に委ねており、現在その内容は明らかではない。今後、訪問取引被害の防止と救済のため、政府において、広く関係者の意見を徴して政令・省令の充実をはかるよう要望する。


併せて、産業構造審議会答申が今後の検討課題とした開業規制、消費者取消権の採用について、速やかに検討を開始するよう要望するものである。


1988年(昭和63年)5月11日


日本弁護士連合会
会長 藤井英男