水俣病に関する判決について

去る3月30日、熊本地方裁判所は、企業とならんで国・熊本県に水俣病を発生・拡大させた責任のあることを認め、認定患者5名をのぞく全患者原告を水俣病と認める判決を言渡した。


水俣病は、公式発見以来、30年余を経てもなお被害者救済の問題すら未解決のままであり、公害による人権侵害として、看過できない事態である。


先に当連合会は、人権擁護の立場から、被害者救済、環境復元など山積する諸課題の解決の展望を示した水俣病特別措置法試案要綱を世に問い、水俣病問題の早期解決を求めてきた。


企業、国、熊本県においては右判決を真摯に受けとめ、被害者救済をはじめとする水俣病問題解決のため抜本的措置をとられることを期待する。


1987年(昭和62年)4月3日


日本弁護士連合会
公害対策・環境保全委員会 委員長 山村恒年