梅田事件再審無罪判決確定にあたって

本日、検察官が梅田事件の控訴断念を発表したことにより、梅田義光氏の無罪判決が確定した。


同氏の不屈の闘志と多くの方々の支援が見事に結実し、この日を迎えられたことを心から喜ぶ次第である。


梅田事件の無罪判決は、日弁連が取組んできた再審事件としては、いわゆる白鳥決定以降8件目である。死刑を含む重大事件について、毎年の如く再審無罪判決が言渡されているという事実は、刑事司法のあり方に深刻な教訓を残すものである。関係当局は、いまなお誤判の原因となっている自白偏重の捜査とこれを安易に信用する裁判を猛省し、再びこのような事態を繰り返さないことを国民の前に明らかにすると共に、誤判については、これを速やかに正すため、再審法の不備を是正すべきである。


当連合会は、他の冤罪事件の1日も早い救済に向けて力を尽すと共に、真に人権を尊重する司法の実現に向けて一層の努力をする所存である。


1986年(昭和61年)9月8日


日本弁護士連合会
会長 北山六郎