サラ金二法案可決にあたって

本日、参議院大蔵委員会は、いわゆるサラ金二法案について、当連合会などが提唱した消費者保護のための必要な修正を行うことなく可決したが、まことに遺憾である。


そもそも本法案は、高金利、無差別過剰融資、苛酷な取立によって、生活の破綻や家庭の崩壊など多くの悲惨な事態を招いているサラ金被害を、消費者の保護と救済の視点から、適切に防止すべき使命を負うものである。


しかしながら、現実の法案の内容は、業者に対する規制が不十分で、金利の引き下げプランも明らかでないのに、貸金業者の貸金について、利息制限法に定める利率を超えて任意に支払った利息を元本に充当し、余分があれば返還請求ができることとした最高裁判所判例の適用を排除しようとする条文(貸金業法案43条)まで置いている。


このような法案では、高金利を公認するとともに、被害者から最終的救済手段を奪い、貸し得取り得の高金利禍を現在より一層拡大してしまう危険性が大きく、消費者保護よりかえって業者の利益保護へ傾いた法案というべきである。


当連合会は、不幸にして法案が成立する事態となっても、全国の弁護士とともに、法律の解釈適用と改善に工夫をこらし、今後一層被害者の救済活動を充実するとともに、関係官庁と立法府に対し、貸金業者に対する厳重な指導監督と、金利引き下げプランの確実な実行を強く要請するものである。


1983年(昭和58年)4月19日


日本弁護士連合会
会長 山本忠義