島田事件差戻し決定にあたって

島田事件について、東京高等裁判所第3刑事部は、再審請求を棄却した原決定を取消し、静岡地方裁判所に差戻した。自白と古畑鑑定のみに支えられた有罪判決は、原審において太田、上田両新鑑定によって完全に覆っていた。


さらに、抗告審において、自白によって発見されたとする兇器の石が捜査官によって発見されていた事実、足跡が全く異なるとの平沢鑑定などが提出され、われわれは再審が開始されることを確信していた。


日本弁護士連合会としては、差戻し後の審理が速やかに行われ、赤堀政夫さんの無実が1日も早く実現するよう、ひきつづき人権擁護委員会の活動を通じ今後も全力を尽したい。


今回の決定により、4つの死刑再審事件の誤判が証明されることになる。日本の刑事司法にとって深刻な事態であり、代用監獄の弊害を含め、今後、捜査、裁判のあり方に根本的メスが加えられることを望む。


1983年(昭和58年)5月24日


日本弁護士連合会
会長 山本忠義