拘禁二法案廃案にあたって

1.

本日、衆議院が解散され、刑事施設法案及び留置施設法案が、いずれも廃案となった。


当連合会は、右二法案が代用監獄の恒久化をはじめ、接見交通権の侵害など人権をそこなうおそれのある多くの問題点を含むことを明らかにし、昨年以来2度に亘る総会決議により、「留置施設法案の廃案ならびに刑事施設法案の抜本的修正なき限り廃案」を求めてきた。


このたび二法案が、昨年4月の国会上程以来全く実質審議が行われないまま廃案となったことは、ひとえに国会各党の良識ある判断と、国民各位、関係各方面、諸団体のご理解、ご協力の賜である。


当連合会としても、全国の弁護士会と会員の結束により、今日の成果を見ることができたことをよろこぶものである。


2.

しかしながら、監獄法の改正は、もともと当連合会が提唱したところであり、今回の二法案の廃案によって事態が解決したものではない。われわれは今後とも、国民各層、関係各方面との連携を密にしながら、代用監獄の早期廃止、弁護人の接見交通権の充分な保障、被収容者の法的地位にふさわしい処遇などの諸課題の実現を含むあるべき監獄法の改正に向けて引き続き努力するものである。


1983年(昭和58年)11月28日


日本弁護士連合会
会長 山本忠義