「現行刑法の現代用語化・日弁連試案」発表にあたって

本日、日本弁護士連合会は、刑法全面「改正」問題に関する国民的な論議の素材として「現行刑法の現代用語化・日弁連試案」を発表した。


刑法は国民の人権に直接かかわる基本法であり、その改正は幅広い国民の合意に基づかなくてはならない。


法務省は、昭和56年12月26日の刑法問題意見交換会で日弁連に対し「刑法改正作業の当面の方針」を提示し、その中で「対立の著しいものは現行法のとおりとする」として右の立場に原則的に同意した。しかし、法務省は例外として、国民の間に反対の強い処罰範囲の拡大を検討課題として位置づけ、保安処分の新設に固執する姿勢を捨てていない。


当連合会の「試案」は、従来の意見書を基本としつつ、現行法を現代用語化したうえ、国民の間に異論のないと思われる部分改正を加えたものである。この試案によって各界の論議が活発におこなわれ、昭和49年以来、強い批判をあびてきた「改正刑法草案」にもとづく「改正」の動きに終止符が打たれることを強く希望するものである。


1983年(昭和58年)11月11日


日本弁護士連合会
会長 山本忠義