35期司法修習生任官拒否について

日弁連は、かねて裁判官の新任拒否問題に深い関心を寄せてきたが、最高裁判所は、第35期司法修習終了者の任官希望者63名中5名を採用しなかった。


今回採用されなかった希望者については、裁判官として不適格とすべき理由が明らかでなく、なにゆえ採用しないのか理解に苦しむケースもあり、当局側の「水準に達しない」・「全人格的評価」などという説明は、むしろ国民の批判を避けるための口実ではないかとの疑念を払拭することができない。


毎年繰り返される新任拒否については、かねてから、思想・信条・団体加入等を実質的理由とするのではないかとの批判もあり、このままでは裁判官希望者を萎縮させ、裁判官の独立に影響を及ぼすことが懸念される。


公務員の選任は、国民固有の権利に由来するものであるから、公正に行うべきものである。もし、裁判官の新任拒否について相当な理由があるならば、当局は、少くとも本人の求めに応じ、その理由を開示するなどして、国民の疑惑と不信を一掃すべきものと考える。


1983年(昭和58年)9月17日


日本弁護士連合会
会長 山本忠義