松山事件再審開始決定について

仙台高等裁判所第二刑事部は、本日、斎藤幸夫氏のいわゆる松山事件について、仙台地方裁判所第二刑事部の昭和54年12月6日、再審開始決定に対する検察官の不服申立を却け、再審開始を支持する決定を下した。


斎藤幸夫氏は、虚偽の証拠により、強盗殺人放火事件の犯人として、死刑の判決を受け、20有余年の長きにわたって死の恐怖にさらされてきました。


日本弁護士連合会は、この誤った裁判が、今、重ねて再審を開始すべきであるとされたことに大きな喜びを感じるとともに、幾多の苦難に耐えて闘い続け、雪冤の扉を大きく開かせた斎藤氏本人をはじめ、ご家族や支援の方々に深く敬意を表すものであります。


日本弁護士連合会が取り組んでいる再審事件の中でも、特に、免田事件、財田川事件、そして、この松山事件の死刑再審事件については恐ろしい誤判を生みだした主な原因の一つに、誤導・拷問・脅迫等による虚偽の供述を生みださせる場となった警察留置場、いわゆる代用監獄での取調べがあったことを指摘しなければならない。そしてこのような誤ちを繰返させないためにも、今、この代用監獄の恒久化を企て、国会に提案されている、いわゆる拘禁二法の成立を阻止すべき重要性を広く国民の皆さんに訴えなければなりません。


最後に、検察官には、本日の裁判所の決定を謙虚に受けとめ、不服申立をすることなく、速やかに、再審公判に臨むことを強く要望すると同時に、これら死刑再審三事件が1日も早く無罪判決に結実するよう日本弁護士連合会も、今後、最大限の努力を尽すものであることを誓うものであります。


1983年(昭和58年)1月31日


日本弁護士連合会
会長 山本忠義