刑事施設法案に伴う規則について

7月22日の報道によれば、法務省は、刑事施設法案に伴う規則の内容を一部明らかにしたとされる。


しかし、伝えられる法務省の説明は、われわれの反対理由に答えるものではない。


法務省は、弁護人との接見交通権に関する具体的内容については、規則にゆだねてあり、制限強化をしていないというが、このような重要な人権保障規定は、法律中に定めるべきで、規則で定めるべきものではない。


規則は法律とは異なり、法務省の考えによって自由且つ容易に改廃されるからである。


また、重要な権利保障規定を、規則で明確化しなければならないような今回の立法は、国会の立法権を無視しており、立法技術としてもはなはだ拙劣なものである。これは、法務省当局の刑事弁護制度に対する無理解を如実に表わすものに他ならない。


さらに法務省は、現行より制限を緩和したと説明しているようであるが、執務時間外の面会などは、刑事訴訟法上明定されている当然の権利であり、刑事施設法案は、むしろ現行の不当な運用を追認する恐れのあるものである。


法務省の説明は納得し難い。法務省は、刑事施設法案の反人権的規定を、規則により湖塗することなく、代用監獄の漸減・廃止を含めて抜本的に改めるべきである。


1982年(昭和57年)7月22日


日本弁護士連合会
会長 山本忠義