大阪国際空港公害訴訟について

本日、最高裁判所大法廷判決が大阪国際空港公害訴訟について同空港の欠陥性と国の責任を認めて被害住民に対し損害賠償を命じたことは喜ばしい。しかし住民の切なる願いであった夜間飛行の差止を認めなかったことは遺憾である。


この裁判は日弁連の中心的ブロック団体の一つである近畿弁護士会連合会の公害対策委員会が行なった実態調査等研究活動に基づいて提訴されたものである。


1970年代以降飛行場・道路・新幹線などのいわゆる公共事業による環境破壊が全国的に進行するなかで、日弁連では公共事業に対する差止と周辺対策のあり方についてかねてから調査・研究をつづけてきた。その成果は本年9月25日札幌で開いた日弁連人権擁護大会のシンポジウムにおける討議を踏えて、現在報告書にとりまとめ近々公表する予定である。


大阪国際空港は、内陸部の人家の密集したところにあり、その被害は質・量ともに他に例を見ないものである。その周辺整備のためには「大阪空港周辺整備特別措置法」を制定して抜本的に解決する必要があると考え、現在その法案の要綱を検討中である。


政府は本日の最高裁判決を真摯に受けとめわが国の公共事業のあり方について再検討をすべきである。


1981年(昭和56年)12月16日


日本弁護士連合会
会長 宮田光秀