再審法改正早期実現を求める談話

再審制度の改正はいうまでもなく立法機関の審議を経なければならず、その実現のためには国会議員各位の理解を得、その努力に期待するほかないので、かねてその具体案を公表して早期実現を期してきた日弁連では去る8月25日付で全ての国会議員を対象として別紙のとおりの意見を求め回答をお願いしました。


これに対して本日現在178名の方々から回答が寄せられました。回答率は23%でしたが、選挙で多忙の折にかかわらず、回答を寄せられた各位には厚く御礼を申し上げたいと存じます。


集計された回答を分類しますと別紙のとおりでありますが、その特徴点をあげれば次の点を指摘できると思います。


  1. 再審法制の改正の必要性については必要なしとされた方は皆無で、回答総数の8%に当る14名の保留はあるものの、全体の21%に当る163名の議員が必要性を認めておられることです。
  2. 必要性について意見を保留された方はすべて自民党議員で、他の政党では保留された方は皆無でした。
    但し、右保留はあくまでも保留であって必要性なしとされたものではありませんが、自民党議員の回答の過半数は改正の必要性を承認されていることを注目してよいと思います。
  3. 日弁連案について、自民、公明、民社の議員の方が多く保留されているのが注目されます。

日弁連としては、今回のアンケートの結果から、再審法制の改正には、与野党を問わず、大方の合意を得られるものと明るい展望をもつことができました。


今回の回答で日弁連案について意見を保留されました方々には、意見を求める際に申しましたとおり、再審が開始され、無罪となった実際の事件の内容の推移をみますと、再審における人権問題の深刻さを改めて思い知らされるのであり、その深刻な事実をふまえ、「無辜の救済」という再審制度の理念を考えますとき、この際、あらためて日弁連案について御検討頂き、御理解を賜りますよう願わずにはおれません。


重ねて、ご多忙の中、回答を寄せられた方々に深く御礼を申し上げますとともに、再審法制改正の早期実現のために今後ますますの御理解と御協力をお願いする次第です。


1979年(昭和54年)9月28日


日本弁護士連合会
会長 江尻平八郎