国際人権規約の批准に関する談話

「国際人権規約」の批准については、日本弁護士連合会では、夙にその重要性にかんがみ、昭和43年及び同49年の二回にわたり、人権擁護大会において、批准促進のための宣言、決議を行ない、政府に対しその要望を重ね、国民各層の「国際人権規約」批准推進運動の中核となってきたものである。


今回、衆議院及び参議院において、慎重審議の結果「国際人権規約」の批准承認が可決せられたが、当会はこれに対し心から歓迎すると共に深く敬意を表するものである。


この上は、1日も早く日本政府による批准手続が行われ、人権を国際的に保障する国際社会の一員に仲間入りすることができるよう望むものである。


昭和51年発効した「国際人権規約」は、世界人権宣言を具体化したものであり、批准国は人権の保障を国際的に義務づけられるが、人権保障の国際水準の保持や、徹底した差別をなくすことなど、遵守すべき事項は多い。


よって批准後は、当会として、「国際人権規約」の国内的実施のため、人間の基本的な自由と権利について同規約が裁判所の判断基準として機能するよう努めると共に、社会保障、労働、教育、家庭など多くの生活分野に、政府の施策が「国際人権規約」の条項に則って行なわれるよう注視して行くものである。


1979年(昭和54年)6月7日


日本弁護士連合会
会長 江尻平八郎