少年法改正中間報告答申についての声明

法制審議会は、本日、当連合会をはじめとする国民各層からの、少年法改正に対する意見や批判を無視して、少年法部会の中間報告を、法務大臣に、答申することの決定をした。


そもそも、少年法は、少年政策の一環をになうものとして、単に非行少年だけでなく、すべての青少年の幸福と成長開花に直接・間接深くかかわり、またその周辺の成人の日常生活の領域にも甚大な影響を与える法であり、そのことを通して、未来の社会のあり方を左右する重要な法である。


現行少年法は、かかる少年法制の性格をふまえ、人間の尊厳を重んじ、民主的な社会の実現を目指す憲法の理念に基づき、人類の歴史的経験と科学的知見に支えられて教育・福祉の法として制定された。捜査機関の影響の排除と、家庭裁判所を中心とする教育的処遇の体制の整備とは、その骨格をなすもので、その目指すところは、多くの支持を得、国際的にも高く評価され、過去20数年にわたる運用の実績をもつものとして定着している。


答申は、かかる少年法制を、さしたる理由もなく、充分な検討を経ぬまま、根幹から改めようとするもので、厳しく批判されなければならない。


すなわち、内容の上では、家庭裁判所を中心とする教育的処遇の体制を失なわせ、代りに警察・検察の影響を全手続過程に貫撤させることを目指しており、その結果、青少年の健やかな成長を犠牲にして、国民の人権とわが国の民主主義の将来を危うくするものというべきであり、手続の上でも、一方的な結論を押しつけ、必要性や結果についての検討もなされないまま行なわれた中間報告を、実質審議を深めず、いわば責任を放棄して答申としたもので、問題といわざるをえない。


当連合会は、国民の批判を無視して行なわれた答申に強く抗議すると共に、今後ともこの答申の問題性を国民に訴え、国民と共に、答申による法「改正」の阻止に全力を挙げてとりくむものである。


昭52・6・29記者発表