米軍における米軍犯罪に対する裁判権の帰属に関する声明

このたび沖縄コザ市内において発生した群衆による反米行動については、米軍犯罪の頻発およびこれに対し琉球政府裁判所に裁判権がないことについての住民の積年の怒りが背景にあり、直接的には去る9月糸満町において発生した米兵の酩酊、速度違反運転による沖縄婦人轢殺事件につき今月11日米軍裁判所が無罪の判決をしたことが原因をなしているとみられる。


当会は夙に米軍犯罪の強い人権侵害性を指摘すると共に、本年7月米軍犯罪に対する裁判権を琉球政府に移譲することは米国施政権内部の分掌事項の変更に過ぎず施政権の根幹に触れるものではないとの見解を公けにし、さらに9月人権擁護大会の決議をもって早急な裁判権移譲の実現を要望した。


しかるに日本政府は交渉の困難を理由として沖縄住民の熱望に応えるべき強い対米交渉態度を示すことなく、国会における各政党の追及もまた必ずしも事態の深刻さを充分に認識したとは言い難いものであった。また米当局に至っては、これらの要求に対して一顧だも払わないばかりか今回の事件についてはその直後に発表された「毒ガス撤去開始にも影響する」との理不尽な高等弁務官声明に端的に現われているような強硬姿勢をすら示している。


当会は、現状のまま推移すれば今後もこの種事件が続発することを懼れる立場から、米国政府に対し、米軍人軍属等による沖縄県民に対する犯罪の裁判権、捜査権を速かに琉球政府に移譲するよう重ねて要望すると共に、日本政府がその実現を強く主張するよう要請する。


1970年(昭和45年)12月22日


日本弁護士連合会
会長 成富 信夫


昭46.1.16理事会事後承認