弁護士と司法書士との職域限界に関する声明

会社の創立は、公共の福祉に関すること頗る重大である。即ち株主の権益や会社債権者の権利を擁護する必要があるのは勿論、会社の経営の適否は国民経済の消長に重大な影響がある。されば会社定款の起草、作成、その他会社設立等に関する事務の取扱は、総て弁護士の職域に専属することは、弁護士法第72条及び司法書士法第1条、計理士法第1条、公認会計士法第2条、税理士法第2条の規定上極めて明瞭且つ当然のことである。然て司法書士、計理士、公認会計士、税理士等がこれを取扱うときは、弁護士法第77条により2年以下の懲役又は5万円以下の罰金に処せられることとなっている。


然るに、今尚司法書士、経理士、公認会計士、税理士等に対し、会社定款の起草、作成、その他会社設立等に関する事務を委任する向があり、司法書士乃至税理士も亦法を犯してこれ等の事務を取扱っておることは甚だ遺憾に堪えない。


本会は、遵法精神の涵養及びその普及を如実に期待すると共に、その反面法に違反し、因て処罰されることのないように念願するため、敢て茲に声明し且つ警告するものである。


昭28・2・21理事会承認