「食品表示基準の一部を改正する内閣府令(案)」に関する意見募集に対する意見書

2018年10月31日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

2018年10月10日、消費者庁は「食品表示基準の一部を改正する内閣府令(案)」に関する意見募集を行いました。
当連合会は、本件について意見を取りまとめ、2018年11月2日に消費者庁食品表示企画課へ提出しました。


本意見書の趣旨

1 本改正案が、「遺伝子組換えでない」旨の表示を遺伝子組換え農産物が不検出の場合のみに認め、分別生産流通管理を実施し遺伝子組換え農産物の混入を5%以下に抑えているものについては、適切に分別生産流通管理している旨の事実に即した表示を認めることとした点には、賛成する。
 

2 本改正案における表示義務対象範囲などが現状を維持する内容となっている点については、反対である。 消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保を実現するために、以下のとおり遺伝子組換え表示制度の見直しを行うべきである。


(1) 表示義務対象品目について
加工食品の遺伝子組換え表示について、組み換えられたDNA又はこれによって生じたタンパク質が加工後検出不能であるものも含め、遺伝子組換え農産物を原材料とする全ての加工食品に、遺伝子組換えの表示義務を課すべきである。
 

(2) 表示義務対象原材料の範囲について
加工食品の遺伝子組換え表示について、遺伝子組換え農産物が重量割合上位4位以下の原材料に用いられている場合や全重量の5%未満の原材料に用いられている場合を含め、遺伝子組換え農産物が原材料に用いられている全ての加工食品に、遺伝子組換えの表示義務を課すべきである。
 

(3) 「遺伝子組換え不分別」の表示について
加工食品及び生鮮食品の遺伝子組換え表示について、分別生産流通管理がされていない場合も、実質的に遺伝子組換え農産物の割合が非常に高いときには、遺伝子組換えである旨の表示を義務付けるべきである。また、「遺伝子組換え不分別である」旨の表示をする際には遺伝子組換え農産物が含まれる可能性があることを併記させることを義務付けるなどして、消費者が理解しやすい表示とすべきである。
 

(4) 義務表示が免除される遺伝子組換え農産物の混入率について
分別生産流通管理が確認された農産物について、「意図せざる混入」として、「遺伝子組換え」及び「遺伝子組換え不分別」表示が免除される場合を、現行の「5%以下」から、早期に3%以下までに限定し、その後、更に0.9%以下までに限定すべきである。



(※本文はPDFファイルをご覧ください)