自治体戦略2040構想研究会第二次報告及び第32次地方制度調査会での審議についての意見書

 

2018年10月24日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

当連合会は、2018年10月24日付けで「自治体戦略2040構想研究会第二次報告及び第32次地方制度調査会での審議についての意見書」を取りまとめ、同年10月29日付けで総務大臣及び第32次地方制度調査会会長に提出しました。


本意見書の趣旨

1 報告書が構想する、「圏域」に関する法律上の枠組みを設け(以下「法制化」という。)、「圏域」が主体となって「行政のスタンダード化」を進めていくことは、以下のような重大な問題点があり、第32次地方制度調査会における「圏域」に関する審議は、慎重になされるべきであり、拙速に結論を出すべきではない。


(1) 「圏域」を法制化し、「圏域」が主体となって「行政のスタンダード化」を進めていくことは、これまでの広域連携の仕組みと異なり、自治体の個別事務ごとの自主的な判断ではなく、全国的に国が主導して、市町村の権限の一部を「圏域」に担わせようとするものであり、自治体が自主的権限によって、自らの事務を処理するという団体自治の観点から問題がある。また、住民による選挙で直接選ばれた首長及び議員からなる議会もない「圏域」に対し、国が直接財源措置を行うことは住民の意思を尊重する住民自治の観点からも問題がある。
これらの点は、憲法上の保障である地方自治の本旨との関係で、看過できない問題である。


(2) 「圏域」単位での行政の在り方を検討するに当たっては、「圏域」の代表的なものである連携中枢都市圏構想について、どのような成果を生み、あるいは、どのような弊害を生じさせたのか、実証的な検証・分析を行い、その評価を参考にすべきであるがそれがなされていない。また、市町村数をほぼ半減させた平成の大合併についても、実証的な検証・分析を行うべきであるがそれがなされていない。


(3) さらに、報告書の構想する地方行政体制の変更は、国土政策に密接に関係するものであるから、国土交通省所管の国土審議会において、国土政策の観点からの検討と国土形成計画との整合性の検討がされるべきであるのにそれがなされていない。


2 地方制度調査会における地方行政体制の在り方についての調査審議を行うに当たっては、地方自治の本旨(団体自治・住民自治)及び基本的人権の保障の観点からの審議がなされるべきことはもちろん、前項(2)の点について専門家による実証的検証・分析がなされるとともに、同項(3)の国土政策の観点からの検討と国土形成計画との整合性の検討がなされるべきである。
また、全国知事会、全国市長会及び全国町村会等の現場からの意見等を十分に考慮し、尊重すべきである。



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