町村議会のあり方に関する研究会報告書に対する意見書

 

2018年8月24日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

当連合会は、2018年8月24日付けで「町村議会のあり方に関する研究会報告書に対する意見書」を取りまとめ、同年8月28日付けで総務大臣及び第32次地方制度調査会会長に提出しました。


本意見書の趣旨

1 報告書は、議員のなり手不足という課題を抱える小規模市町村を対象に、集中専門型議会と多数参画型議会という二つの新たな議会の選択肢を提示し、条例で導入できることを想定しているとする。
集中専門型議会とは、少数の専業議員に「首長とともに市町村の運営に常時注力する役割」を求め、多様な民意の反映は、議員とは異なる立場で議事に参画する「議会参画員」によって維持しようとするものである。
多数参画型議会は、議会の権限を限定して議員の負担を軽くした上で、多数の非専業議員で議会を構成しようとするものである。
この二つの新しい議会の考え方に基づき、小規模市町村の議会制度を改正することには、次の理由により反対する。


(1) 集中専門型議会では、議会ないし議員に執行機関としての役割を求めているのではないかという疑問があること、多数参画型議会では、首長の行う「契約」の締結及び「財産の取得又は処分」の事件を議決権の範囲から除外することなど、いずれも議会の審議機能及び監視機能を低下させるものであり、議会を議事機関とし、二元代表制(憲法第93条)とした制度趣旨に反する。


(2) 集中専門型議会と多数参画型議会という二つの新しい類型の地方議会について、「議員活動」、「権限」、「議員報酬・定数など」、「兼職禁止・請負禁止」、「議会運営」、「勤労者の参画」、「住民参画」などの要素を不可分のパッケージとして提供すること自体、国による地方公共団体への「義務付け・枠付け」に他ならず、団体自治(憲法第92条)及び議会自律権の観点から問題である。


2 研究会は、地方自治の本旨に関わる重大な課題を検討するにもかかわらず、一貫して会議を非公開、資料も非公表とし、研究会発足後、全国市議会議長会、全国町村議会議長会を始めとする地方議会からの意見聴取を全く行わずに報告書を取りまとめており、政策形成過程の透明性及び健全性に反する。
地方議会制度を含む地方自治制度の検討は、地方自治の本旨を具体化する重要な制度を検討することであるから、国民の的確な理解と批判の下で公正かつ民主的に行われることが必要不可欠である。
よって、この度の研究会における未公表の配布資料及び議事録を公表するとともに、今後、地方自治制度を検討する研究会・懇談会等の「行政運営上の会合」の運営に当たっては、配布資料及び議事録の公表を含めて会議を公開とするように会議の運営方法を改め、透明性の確保された手続において、十分な検討がなされるべきである。


3 今後、今回の報告書を受けて、総務省の地方制度調査会等において、地方議会議員の人材確保等について検討がなされる場合には、憲法における地方自治の本旨、特に議事機関としての議会の在り方及びこれによる二元代表制の制度趣旨に立脚した検討がなされるべきであることはもちろん、全国市議会議長会、全国町村議会議長会、市町村議会等の現場からの意見、要望、提言等を十分に踏まえた慎重な検討がなされることが必要である。



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