「知的財産推進計画2018」・「知的財産戦略ビジョン」策定に係る検討課題に関する意見書

2018年2月15日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

政府の知的財産戦略本部では、毎年、その行動計画である「知的財産推進計画」を取りまとめており、現在、2018年度の計画策定に向けて検討されています。また、毎年の「知的財産推進計画」の策定に加え、2025年~2030年を見据えた中長期の知的財産戦略の在り方を示す「知的財産戦略ビジョン」についても議論が始まりました。


この度、同本部での「知的財産推進計画2018」および「知的財産戦略ビジョン」の策定に向けた検討を本格化させるに当たり、「知的財産推進計画2017」について見直すべき点や、「知的財産推進計画2018」および「知的財産戦略ビジョン」に新たに盛り込むべき政策事項等についての意見募集が行われました。


日本弁護士連合会は2018年2月15日付けでこれに対する意見書を取りまとめ、同日付けで内閣府知的財産戦略推進事務局に提出しました。


[関連意見書]


本意見書の趣旨

1 知的財産に関連する契約実務を高度化させるための施策を検討すべきである。特に中小企業・ベンチャー企業において、データを含む知的財産を活用した事業展開をなすには、知的財産各法のみならず、契約法、個人情報保護法、独占禁止法ならびに訴訟法および倒産法等の関連法令を踏まえた高度な契約に基づき、利益保護とリスク低減を図ることが重要である。これを可能にするためには、中小企業・ベンチャー企業に対して、産業財産権の権利化を支援するだけではなく、必要な人材を育成することを含め、知的財産に関連する契約法務活動の支援をすることを検討すべきである。


2 種苗法に基づく品種登録制度に関する諸規定について、産業財産法制とのバランスを考慮しつつ、例えば、①出願公表に伴う補償金請求を容易にするための改善、②育成権者の権利範囲を理解するための情報へのアクセス改善、③権利無効の抗弁と同趣旨の制度の検討、④職務育成品種についての制度整備を図る等、現実的に制度の活用に支障のないように全体的な整理検討がなされるべきである。また、農林水産関係知財制度の一層の普及・啓発に努めるとともに、エンフォースメント(権利行使)も視野に入れた形での途上国への法制度整備支援も展開されるべきである。
        

(※本文はPDFファイルをご覧ください)