産業構造審議会知的財産分科会不正競争防止小委員会「データ利活用促進に向けた検討 中間報告(案)」に対する意見書

2017年12月21日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

多種多様なデータがつながることによって新たな付加価値が創出される産業社会の実現のためには、データ提供者・利用者双方が安心してデータを利活用できる環境整備が求められるところ、利活用が期待されるデータが現行法上では十分に保護されないといった指摘があります。
産業構造審議会 知的財産分科会 不正競争防止小委員会では、本年7月以降、不正競争防止法の改正に向けて、データの不正取得や不正取得されたデータの流通抑止及び被害低減のための制度について審議が行われてきました。この度、同小委員会の検討結果を中間報告として取りまとめるに当たって、意見募集が行われました。
日本弁護士連合会は2017年12月21日付けでこれに対する意見書を取りまとめ、同日付けで経済産業省に提出しました。



[関連意見書]
 「知的財産推進計画2017」策定に係る検討課題に関する意見書


本意見書の趣旨

1 不競法にデータに関わる不正競争行為類型を追加して差止請求権等の救済措置を設けることについては、必要最低限の規律を設けることを基本方針とし、慎重な検討がされるべきである。


2 データの不正取得、不正使用行為に対する不競法上の救済措置を設ける場合、保護客体となるデータ及びデータの同一性を認める範囲、差止請求権等の請求権主体、違法とされる行為の客観的・主観的要件などの基本的事項は、法律の条文に明確に規定すべきであり、ガイドラインなどの法的な性格の曖昧なものに委ねるべきではない。


3 管理侵害行為によるデータの不正取得行為及び不正取得したデータの不正取得者による使用・提供行為については、要件がより明確化されることを条件に、これを不正競争行為として差止等の救済措置の対象とすることに賛成する。
他方、善意でデータを取得した者が事後に不正行為の介在につき悪意となった場合、当該取得者によるデータの使用・提供行為は、その基となった契約による権限範囲の内外を問わず、不正競争行為とされるべきでない。この点に関する中間報告案には反対である。
     

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