パリ協定の実施のための国内法制度の整備に関する意見書

2017年2月16日
日本弁護士連合会

  

本意見書について

日本弁護士連合会は、2017年2月16日に本件について意見を取りまとめ、2月22日付けで環境大臣、経済産業大臣及び内閣官房長官へ提出いたしました。

 

本意見書の趣旨

国は、パリ協定の実施のために、地球温暖化対策の推進に関する法律に代えて、以下の項目を盛り込んだ気候変動対策基本法(仮称)を制定し、実施の措置を採るべきである。

1 法の目的に、平均気温の上昇を産業革命以前の水準から2℃を十分下回り、1.5℃に抑えるよう努力することを掲げ、我が国の長期目標として、パリ協定第4条第1項の定めに沿って、今世紀の後半に温室効果ガスの発生源による人為的な排出と吸収源による人為的な除去とが均衡すること(同第2条第1項(a))を目指すことを明記すること。

2 長期目標に至る過程における目標とその改定について、
(1) 2050年までに、温室効果ガスを1990年比80%削減することを定め、その過程における目標として、2030年には1990年比50%又はこれに準ずる削減、2040年には1990年比60%を超える削減目標を定めること。
(2) 2050年目標と整合的な温室効果ガス低排出型発展の長期的戦略(長期ビジョン)を作成する(同第4条第9項)とともに、世界全体での排出削減の進捗評価(同第4条第19項)を踏まえ、2050年目標とも整合的になるよう、 5年ごとに目標を引き上げること(同第4条第2項及び同第9項)を定めること。

3 国家適応計画を策定し、必要に応じてこれを改定することを定めること(同第7条第9項)。

4 目標及び主要施策の策定・改定に当たって、科学の知見を基礎とし(同第13条及び第14条第1項)、国民の意見を反映させることを定めること。

5 目標の実施のための措置(同第4条第2項)として、以下の措置の導入を明記すること。
(1) 炭素税や国内排出量取引制度(キャップ・アンド・トレード型)等の炭素の価格付け措置
(2) 排出削減目標年ごとの再生可能エネルギーの導入目標の設定
(3) 固定価格買取制度の維持及び発送電系統への優先接続等の再生可能エネルギー導入促進の措置

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)