所得連動返還型奨学金制度につき、十分に議論を尽くした上で、真に利用者負担の少ない制度の創設を求める意見書

 

2016年7月14日
日本弁護士連合会

  

本意見書について

日弁連は、「所得連動返還型奨学金制度につき、十分に議論を尽くした上で、真に利用者負担の少ない制度の創設を求める意見書」を取りまとめ、2016年7月19日付けで文部科学大臣、独立行政法人日本学生支援機構理事長及び所得連動返還型奨学金制度有識者会議座長宛てに提出いたしました。

 

本意見書の趣旨

第1 意見の趣旨
国、有識者会議及び支援機構は、第一次まとめを根本的に見直し、2017年度の運用開始にこだわらず、十分に議論を尽くすべきである。


その上で、所得連動返還型奨学金制度を以下のような内容とすべきである。

1 返済を開始する最低所得・収入額(閾値)(以下「返済開始最低所得額」という。)を設定し、その額について、年収300万円(給与所得者以外は年間所得200万円)以上とすること。


2 最低返還月額を設けないこと。


3 仮に、当面の間、返済開始最低所得額を設けず、かつ最低返還月額を設定するのであれば、返還猶予に関して、以下のような制度を整備すべきである。
(1) 返還猶予等返済困難者に対する救済制度の申請手続の簡素化と周知を徹底するとともに、その教示・助言と申請の援助について支援機構の法的義務とすべきこと。
(2) 返還猶予等の返済困難者に対する救済制度の申請可能年数について、制限を設けないこと。
(3) 返済困難者に対する救済制度は、要件を満たす限り適用するものとし、支援機構の裁量による制限がなされるべきでないこと。

4 訴訟上、訴訟外を問わず、支払総額を確定した上で、無理のない返済方法の組み直し(リスケジュール)に応じるなど、延滞が生じ又は生ずるおそれがある場合の救済を充実させること。
延滞があることで返還猶予その他の救済制度の利用を制限しないこと。
返済期限未到来の割賦金の繰上一括請求をしないこと。

5 一定の返済期間又は年齢を定め、その期間又は年齢を超えた場合の返済を免除すること。

6 返済額については、扶養者の収入を考慮せずに判断すること。

7 保証は付さないこと。

8 第二種貸与奨学金について、所得連動返還型奨学金制度の導入を現実的に議論すべきこと。

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)