改正特許法第35条第6項の指針案に対する意見書

 

2015年12月3日
日本弁護士連合会

 

 

 

本意見書について

2015年7月に成立した改正特許法により、職務発明制度の見直しが行われました。今回の法改正について当連合会では、産業構造審議会での検討段階において、過去3次にわたって意見を公表しています。

 

この度、改正特許法第35条第6項に基づく指針(経済産業省の告示)案が意見公募に付され、当連合会はこれに対する意見書をとりまとめ、2015年12月3日付けで特許庁に提出いたしました。

 

本意見書の趣旨

改正特許法第35条第6項に基づく発明を奨励するための相当の金銭その他の経済上の利益について定める場合に考慮すべき使用者等と従業者等との間で行われる協議の状況等に関する指針案(以下「指針案」という。)につき、当連合会は以下のとおり意見を述べる。

 

1 指針案が、指針策定の目的として改正特許法第35条第5項の規定における不合理性判断の法的予見可能性を高め、もって発明を奨励することとしていることには異論はない。また、指針案が同条第5項所定の協議の状況、開示の状況及び意見聴取の状況のそれぞれについて手続が適正であるか否かを判断するための考慮要素を具体的かつ網羅的に指摘している点は評価できる。

 

2 改正特許法第35条が発明者に対して現行法と実質的に同等のインセンティブ付与を法定することを趣旨としていることに照らせば、同趣旨を手続的観点から指針においても明確にするべく、「相当の利益の内容の決定方法」(指針案第二・一・3)の項目に、「使用者等は、相当の利益を決定するための基準を策定するに際しては、策定すべき基準に関する協議に先立ち、相当の利益の内容が発明者に対するインセンティブを付与するに足りるものであるかを検討すべきである」と明記すべきである。

 

3 基準の策定、形式及び内容、協議、意見聴取に係る各手続の他、金銭以外の「相当の利益」を付与する場合の手続等の各論については、本意見書第2・2以下に指摘する記載事項につき、指針策定に際して考慮されたい。

 

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)