「特許・実用新案審査基準」改訂案に対する意見書

icon_pdf.gif意見書全文(PDFファイル;179KB)

 

2015年7月31日
日本弁護士連合会


 

本意見書について

特許庁における特許審査と実用新案の技術評価についての判断基準となる「特許・実用新案審査基準」の改訂案が示され、2015年7月8日付けで意見募集に付されました。


これに対して、当連合会では、7月31日付けで意見書を取りまとめ、特許庁に提出いたしました。

 

本意見書の趣旨

1 審査基準改訂全般について
改訂案が審査基準の記載を「特許法等の関連する法律の適用についての基本的な考え方をまとめたもの」に限定し、審査ハンドブックに手続的事項・留意事項に加え、審査基準の理解に資する事例・裁判例・適用例を掲載し充実化を図るとする基本方針については、賛成する。ただし、今後、審査ハンドブックの重要性が増大すると予想されることから、審査ハンドブックの改訂についても、審査基準の改訂に準ずる意見聴収の機会を設けていただきたい。


2 新規性・進歩性について
改訂案が、近時の裁判例の動向を踏まえ、より客観性のあるものとされた点、及び諸外国の審査基準をも参考にして、より国際的にも通用する内容とされた点は評価する。また、新規性・進歩性の実体的判断と審査の進め方とを分けるなど、分かりやすくされた点も評価する。ただし、進歩性の審査における請求項に係る発明の課題の考慮が動機付けにおいて十分でない点は、保護されるべき発明を保護するとの観点において問題を残している。


3 記載要件について
改訂案は、記載要件に関する裁判例の傾向を踏まえつつ、各要件の審査基準を詳細に説明し、相互の関係にも配慮しながら、その概要及び充足性に関する基本的な考え方を説明しており、分かりやすく、評価できる。


4 審査の基本方針と審査の流れについて
改訂案は、審査段階に応じた体系的審査のあり方を整理しながら、審査の効率及び質の確保を図るとともに、出願人に対する適正な手続補正又は意見の提出などの機会の付与に資するものであり、高く評価できる。


5 プロダクト・バイ・プロセス・クレームについて
改訂案のいわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレーム(製造方法により生産物を特定しようとする記載があるもの)に関する記載は、近時の最二小判平成27年6月5日(平成24年(受)第2658号)を踏まえたものであり、おおむね妥当である。
 

 

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