プロ向けファンドに関する制度整備の早期実現と実効性のある運用を求める意見書

2015年2月19日  
日本弁護士連合会


 

本意見書について

当連合会は、2015年2月19日付けでプロ向けファンドに関する制度整備の早期実現と実効性のある運用を求める意見書を取りまとめ、同年2月25日付けで、内閣府特命担当大臣(金融)、金融庁長官及び金融庁証券取引等監視委員会委員長に対し提出しました。

 

本意見書の趣旨

1 金融審議会「投資運用等に関するワーキング・グループ報告~投資家の保護及び成長資金の円滑な供給を確保するためのプロ向けファンドをめぐる制度のあり方~」の提言に基づいた金融商品取引法の改正等の制度整備を早期に行って、プロ向けファンドの一般の個人への販売の禁止、参入の規制、行為規制、行政処分等の制度整備を実現し、できるだけ早く改正法を施行して実効ある運用をすべきである。


2 制度の具体化及び運用に当たっては、以下の点に留意すべきである。


(1) 適格機関投資家等特例業務の届出において、不適切なファンドについての届出を受理しないこと。その実効が確保されるよう、特例業務届出者及び適格機関投資家の要件を適切に設定し届出事項の拡充を図るとともに、審査の充実を図ること。


(2) 投資判断能力を有する一定の投資家及び特例業務届出者と密接に関連する者以外の者(特に一般の個人)にプロ向けファンドが販売される事態が生じないよう、制度の具体化と運用に当たって配意すること。特に、販売時に、特例業務届出者により、販売が認められる投資家に該当することの確認が確実に行われるように制度の具体化を図るべきである。悪質な業者により、プロ向けファンドの販売が許されない投資者(特に一般の個人)に販売がされたときには、行政処分や刑事責任の追及が適切に行われること。


(3) プロ向けファンドの販売が許される一般投資家への販売においては、適合性の原則、書面交付義務及び説明義務等の登録業者と同様の行為規制(業務の性質やリスクの高さ、出資者が限定されていることの説明義務を含む。)が適正に確保されること。また、投資型ファンドの運用においても、忠実義務・善管注意義務、運用報告書の交付義務等の登録業者と同様の行為規制が適正に確保されること。


(4) 事業実態・運用実態がない業者や資金を流用する業者等に対する実効的な監督や責任追及が可能となることにも配意して、届出書等の内容や事業概況の公表、事業報告書の作成・提出、帳簿作成・保存等の制度を整備すること。


(5) 海外の業者や海外での運用等についても法執行の充実を図ること。


(6) 投資者保護の観点から、行政処分や刑事処分等による規制の実効性確保を適切に行うこと。

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)