「死因究明等推進計画」に対する意見書


icon_pdf.gif意見書全文(PDFファイル;57KB)

 2014年8月21日
  日本弁護士連合会


 

本意見書について

日弁連は、2014年8月21日付けで「死因究明等推進計画」に対する意見書を取りまとめ、2014年8月22日に、内閣総理大臣、内閣府死因究明等推進会議事務局、総務大臣、法務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、警察庁長官、海上保安庁長官及び各都道府県知事に提出しました。

 

本意見書の趣旨

解剖体制をはじめとした日本の死因究明制度は、海外に比べて未整備であり、地域間格差も大きいことから、犯罪死や事故死を見逃すことによって生ずる様々な人権侵害が生じている。これを防止し、国民が地域間格差なく等しく死因究明の利益を享受できる体制を構築するために、適正な死因究明制度の確立は必要不可欠である。よって、政府及び各地方公共団体(都道府県)に対し、少なくとも、以下の点を踏まえた施策を実施するよう強く求める。


1 政府・地方公共団体(都道府県)の体制
(1) 政府について
死因究明等推進計画に基づく「死因究明等に関する関係府省庁間の施策の管理・調整等」及び「実施状況の検証・評価・監視」を行う政府の体制は、「死因究明等推進計画検討会」同様、法医学者・法学者・弁護士等の専門家を主体として構成し、政府において、死因究明施策を充実・強化し、抜本的な制度改正を継続的に検討していくべきである。

 

(2) 地方公共団体(都道府県)について
各地方公共団体(都道府県)は、①死因究明施策を統括する部署及び関係機関・団体等で構成する「死因究明等推進協議会(仮称)」を設置し、②死因究明等推進協議会に法律専門家を参加させるなどの措置を講じ、推進法の趣旨を踏まえて、死因究明の施策の推進を図っていくべきである。

 


2 検案・解剖の実施体制の拡充
検案・解剖の実施体制を拡充するため、以下の具体的施策を検討し、実施にあたっては、政府において、指針及び目標を定め、実施主体である各地方への財政的援助も含めて強力に推進していくべきである。

 

(1) 各都道府県内の既存の大学、病院及び研究所等の施設を利用した「死因究明センター」(仮称)を創設すること。

 

(2) 「専門検案医」制度を創設すること。

 

(3) 検案医の法医学者等に対するコンサルト体制を構築すること。

 

 

3 遺族等の権利利益の保護
遺族等の権利利益の保護を的確に行うため、以下の具体的施策を検討及び実施する。


(1) 遺族等の要望等に対応するため、各都道府県内に遺族等の対応窓口を設置すること。


(2) 遺族等の知る権利等の保障のためには、刑事手続であっても、検案・検査・解剖等を行った医師等が遺族等に説明する際、捜査への影響や第三者のプライバシー権保護に留意しつつ、鑑定書等の全部若しくは一部、又は、少なくとも、検案・検査・解剖等の結果等の概略を記載した「説明文書」などを交付し,説明を尽くすようにすること。


(3) 死因究明施策は政府・地方公共団体(都道府県)の責務として実施すべきものであることから、検案・検査・解剖等の費用は遺族等に負担させないよう配慮すること。

 


4 データベース整備

DNA型情報・歯科所見情報の収集・保管、データベースの整備等は、個人のプライバシー権の保障の観点から、今後も慎重に検討していくべきである。

 

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)