「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」における介護保険体制に関する意見書

 2014年4月17日
 日本弁護士連合会


 

本意見書について

当連合会は、2014年4月24日付けで「「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」における介護保険体制に関する意見書」を取りまとめ、厚生労働大臣、各政党代表、衆議院議長、参議院議長に提出いたしました。



 

本意見書の趣旨

1 「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」における、「地域包括ケアシステム」の構築に当たっては、憲法第25条に基づき、最期まで住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる医療・介護提供体制を国及び地方自治体の公的責任で実現すべきであり、「共助」の名の下に、公的責任で実施すべき施策を後退させ、これを地域住民の互助によって補うようなことになってはならない。

 

2 「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」における、介護保険法の改正について、以下のとおりの対応を求める。

 

 (1) 介護予防サービスのうち、介護予防訪問介護と介護予防通所介護を市町村が実施する地域支援事業に移行すべきではなく、全国一律に保障されるサービスとして維持すべきである。

 

 (2) 介護老人福祉施設等に係る給付対象を、原則として要介護度3以上に限定することについては、それに代わる質の確保された居住施策が完備するまでは、慎重に対応すべきである。

 

 (3) 介護給付及び予防給付について、一定以上の所得を有する被保険者(年金収入280万円以上)に係る利用者負担の割合を、引き上げるべきではない。

 

 (4) 低所得の施設入所者に対する居住費・食費負担軽減制度(補足給付)の要件を見直し、資産要件(貯金1000万円以上)を新設することについては、慎重に対応すべきである。