最高裁判所第5回「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」に対する意見書

 

 

2013年9月12日
日本弁護士連合会


 

本意見書について

2013年7月12日に最高裁判所は、第5回の「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」(以下「第5回報告書」という。)を公表しました。
第5回報告書に対し、日弁連は、2013年9月12日付けで意見書を取りまとめ、最高裁判所ほかへ提出しました。



本意見書の趣旨

1 社会的要因の分析において、社会に潜在的な紛争が多数存在することが、感覚的議論ではなく客観的な調査の裏付けを伴って指摘され、社会の変化や基盤整備の状況によってはそれらの紛争が顕在化し、その少なからぬ部分について、司法的解決が必要となる可能性があることが説得的に述べられている。裁判所に持ち込まれる事件数増加の可能性を示唆するものであり、それが実証的に示されたことは大きな意義がある。


2 しかし、これらの潜在的紛争は、現状のままで自然に顕在化するものではない。
これらを司法による適正な解決のルートに乗せるためには、法的アクセスの容易化など第5回報告書で指摘されている諸要因の検討が必要であることはもとより、当連合会が主張してきたとおり、司法の中核であり紛争解決の受け皿の中心となる裁判所について、紛争の複雑化、先鋭化、多様化への対応を含め、本庁のみならず支部、簡易裁判所、家庭裁判所も含めたより一層の基盤整備を図り、紛争解決における裁判所の役割を強化することが重要かつ不可欠である。


3 裁判の迅速化に関する法律第3条・第4条・第8条第2項に基づき、法の施行後10年を経過した今、国は、最高裁判所の一連の検証結果を適切に活用して、裁判所の人的物的態勢の整備をはじめとする司法基盤整備をより一層推進する抜本的な施策を策定・実施し、政府は、その実施のために必要な法制上、財政上の措置を速やかに講じるべきである。


4 裁判所の態勢整備に加え、ADRなど多様な紛争解決手段の整備、証拠・情報収集手段の拡充、集合的権利訴訟制度の導入・整備など紛争解決のプロセスの充実、弁護士費用保険や民事法律扶助などコスト面の制度整備を合わせたより広い観点から紛争解決制度全体の整備・強化を図っていく必要がある。


5 最高裁判所は、5回にわたる検証報告について、その当否も含めた関係各界における検討結果を踏まえて、これを裁判実務に適正に反映させるとともに、今後も裁判の適正・充実に重点を置いて、全国の実情調査を含めたきめ細かい検証を継続的に実施すべきである。

 

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