刑事施設医療の抜本的改革のための提言

 

   2013年8月22日
   日本弁護士連合会


 

本意見書について

当連合会は、2013年8月22日付けで「刑事施設医療の抜本的改革のための提言」を取りまとめ、2013年9月4日に法務大臣及び厚生労働大臣宛てに提出しました。

 

本意見書の趣旨

1 基本理念と原則
(1) 刑事施設医療においても、自由刑の執行による自由の制限という内在的制約を除けば、一般の医療法規が刑事施設医療にも適用されることを確認し、刑事被収容者処遇法を改正し、規則、訓令、通達を全面的に廃止ないし見直すこと。
(2) 刑事施設における医療は国の義務であるとともに、医療を受ける被収容者の権利であることを確認すること。
(3) 医療の独立性を確認し、医療に関する事項については、医師、医療部門の判断を最大限尊重し、処遇保安部門による介入を認めないという原則を確立すること。
(4) 刑事施設医療に関する国際準則に依拠するものとし、諸外国における刑事施設医療改革の成果を取り入れること。

 

2 医師不足の解消策
(1) 何よりも、医師が誇りとやりがいを持って職務に取り組むことのできる環境を整備すること。
(2) 常勤医師確保のため、兼業禁止規定の解除等の制度改革を行い、給与水準の引上げ等勤務条件を改善すること。
(3) 常勤医師の確保に努めると共に、開かれた医療、外部医療機関との連携強化の趣旨からは、非常勤医師、嘱託医師の派遣等、外部医療機関からの医師派遣による医師確保を優先するものとし、そのための制度設計を行い、医療関係者間の協力体制を構築すること。

 

3 各論
(1) 刑事施設の医務部門による診療では不十分であると医師が判断した場合には、外部の専門医療施設での診療を義務付ける制度を創設すること。
(2) 法務大臣訓令(2007年2月14日矯医訓第816号)で義務付けられている被収容者への診療情報提供の実効性を確保するとともに、被収容者や一定の第三者に対して診療記録を開示する制度を創設すること。
(3) 指名医による診療(刑事被収容者処遇法第63条)の要件を緩和するとともに、被収容者が刑事施設の医師以外の医師の意見を求める機会を保障する制度を創設すること。
(4) 施設収容前医療、刑事施設医療、社会復帰後医療の連携と継続性を図ること。
(5) 刑事施設医療に関わる医師、看護師等の医療関係者に対し、憲法、刑事被収容者処遇法、我が国が批准した「拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は、刑罰に関する条約」等の国際条約や国際準則に基づく研修を行うこと。

 

4 不服申立等
(1) 医療に関する紛争についての法務省から独立した第三者による不服申立機関を創設すること。
(2) 刑事施設における死亡事例について、第三者委員会による検証を行うこと。
(3) 刑事施設視察委員会の意見に対して調査、応答義務を課すなど、刑事施設視察委員会の機能を強化すること。

 

5 制度論
(1) 刑事施設における医療施設の管理について、外部医療機関への委託を推進すること。
(2) 中央と各都道府県に刑事施設医療改革と運用改善を提言することを目的とした「刑事施設医療協議会(仮称)」を設置すること。
(3) 刑事施設における医療を法務省から厚生労働省に移管すること。

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)