「いじめ防止対策推進法案」に対する意見書

 2013年6月20日
日本弁護士連合会


 

本意見書について

2013年の通常国会に、6つの与野党(自民・公明・民主・みんな・生活・維新)から「いじめ防止対策推進法案」が提出されました。



日弁連は、従前より「いじめ防止法案」の在り方に関心を持って検討を重ねてきましたが、2013年6月20日、「『いじめ防止対策推進法案』に対する意見書」を公表し、文部科学大臣、各政党などに提出しました。


本意見書の趣旨

1 いじめ防止対策推進法案(以下「法律案」という。)が、いじめ防止のための対策に関する施策の推進を図ろうとしている点は評価できるが、その方策として掲げる「道徳教育及び体験活動等の充実」については、道徳を教え込むようなものではなく、法律案自体も認める「いじめの防止に資する活動であって当該学校に在籍する児童等が自主的に行うもの」を中心とするものにすべきである。



2 法律案は、起きてしまったいじめへの対処について、いじめを受けた児童等への支援といじめを行った児童等への指導という二者間の対峙的な対処としているが、いじめの原因を探求してこれに対処すること、いじめを集団の構造的問題と捉えいじめの四層構造を踏まえて集団全体や観衆・傍観者に当たる児童等への対応も行うことが明記されるべきである。



3 法律案は、いじめを受けた児童等の支援や教育を受ける権利等への配慮のみを強調し、いじめを行った児童等に対しては指導・懲戒・警察への通報等を定めているが、いじめを行った児童等についても、支援や教育を受ける権利等への配慮が必要であることが明記されるべきである。 



4 法律案は、保護者についても、いじめを受けた児童等の保護者に対しては支援、いじめを行った児童等の保護者に対しては助言、と対峙的な対処を定めているが、いじめを行った児童等の保護者についても、支援が必要なことが明記されるべきである。



5 法律案は、保護者に児童等がいじめを行うことのないよう規範意識を養うための指導その他の必要な指導を行うよう努める義務を課しているが、このような規定は設けるべきでない。



6 法律案は、重大ないじめ事案への対処として、学校・地方公共団体に調査を行う組織・機関を設置すると定めているが、いじめ防止の目的も含め常設の子どもの権利に関する第三者機関を設けることとすべきである。 

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)