「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の見直しに関する中間取りまとめ」に関する意見書
- 意見書全文(PDFファイル;26KB)
2012年11月29日
日本弁護士連合会
本意見書について
日弁連は、この度、「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の見直しに関する中間取りまとめ」に関する意見書をとりまとめ、2012年11月29日に、法務省民事局参事官室が実施するパブリックコメントに対し意見提出するとともに、法務大臣及び国土交通大臣に対し提出しました。
本意見書の趣旨
1 国は、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法の見直しに関する中間取りまとめ(以下「中間取りまとめ」という。)の方針に沿って、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)及び被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(以下「被災マンション法」という。)の改正を速やかに行うべきである。
2 取壊し決議制度については、以下のとおりとするのが相当である。
(1) 適用対象は政令で定める災害により大規模一部滅失した区分所有建物に限るべきである。
(2) 多数決要件は区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数とすべきである。
(3) 取壊し決議の内容は、各区分所有者の衡平を害しないように定めることとすべきである。
(4) 集会の手続として、事前に説明会を開催することとすべきである。
(5) 取壊し決議に賛成しなかった区分所有者に対しては、売渡し請求等ができるように規定を設けるべきである。
(6) 取壊し決議に賛成した区分所有者等は、取壊しを行う合意をしたものとみなす規定を設けるべきである。
(7) 取壊し決議は、原則として、政令施行の日から起算して1年以内とする期間制限を設けるべきである。
3 滅失又は取壊し後の建物の敷地については、以下のとおりとするのが相当である。
(1) 以下の内容による敷地売却決議の制度を新設するべきである。
① 多数決要件を敷地共有者の持分の価格の5分の4以上の多数とする。
② 決議事項を売却の相手方と代金の見込額とする。
③ 所在が知れない敷地共有者に対する集会の招集通知について民法第98条を参考にした通知の特則を設けるとともに、かかる場合に個人情報の開示を行うよう国として施策を講じるべきである。
④ 敷地売却決議に際し、事前に説明会を開催する規定を設けるべきである。
⑤ 売却決議に賛成しなかった敷地共有者に対しては、売渡し請求等ができるように規定を設けるべきである。
⑥ 売却決議に賛成した区分所有者等は、取壊しを行う合意をしたものとみなす規定を設けるべきである。
⑦ 売却決議は、原則として、政令施行の日から起算して3年以内とする期間制限を設けるべきである。
4 政令で定める災害により大規模一部滅失した区分所有建物について、取壊しをせず建物の敷地を共に売却することを可能とする規定を設けるべきである。
5 被災マンション法に基づく再建は、滅失のみならず、取壊し決議に基づき取壊された場合も含むものとし、いずれの再建決議に際しても、事前に説明会を開催する規定を設けるべきである。
6 滅失又は取壊し決議に基づく取壊し後の敷地の管理について、管理方法、管理者、集会手続に関する規定を設けるべきである。
7 被災マンション法第4条に基づく共有物分割請求の制限は、取壊し決議に基づく取壊しの場合も含めることとすべきである(ただし、共有物分割請求の制限までの猶予期間は不要である。)。
8 団地について、滅失又は取壊し決議に基づく取壊し後の再建の場合にも、建替え承認決議(区分所有法第69条)、一括建替え決議(同法第70条)を参考にした制度を設けるべきである。
9 団地について、団地の敷地の分割を容易にする制度を設けるよう、別途、検討を行うべきである。
10 国は、上記の各事項について、中間取りまとめにかかる法改正にとどまらず、標準的な手続をガイドライン化する等して具体的に示すとともに、災害発生前から全国のマンションの管理組合に広く周知徹底させ、シミュレーション実施を支援する等の施策を講じるべきである。
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