新たな刑事司法制度の構築に関する意見書(その3)

2012年9月13日
日本弁護士連合会







 

本意見書について

当連合会は、2012年9月13日付けで別紙のとおり新たな刑事司法制度の構築に関する意見書(その3)を取りまとめ、法務大臣及び法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会長宛てに提出しました。

 

本意見書の趣旨

(勾留及び保釈制度の改善)


1 身体拘束が重大な人権制限であり、身体拘束を利用した自白等の強要が行われてきたことを踏まえ、被疑者・被告人の身体拘束は例外的な場合に限られることを確保するとともに、とりわけ罪を犯していない人が嫌疑を否認していることを理由に身体を拘束され、自由と引き換えに虚偽自白を強要される状況を作り出さないよう、次のように、勾留及び保釈制度を改善すべきである。


(1) 勾留又は保釈に関する裁判においては、被疑者又は被告人の防御権を踏まえ、被疑者又は被告人が嫌疑を否認したこと、取調べ若しくは供述を拒んだこと、又は検察官請求証拠について同意をしないことを被告人に不利益に考慮してはならないものとする。


(2) 勾留又は保釈に関する裁判においては、犯罪の軽重及び被疑者又は被告人が釈放されないことによって生ずる防御上又は社会生活上の不利益の程度を考慮しなければならないものとする。


(3) 勾留に代替する手段として、住居等制限命令制度を創設し、その命令では目的を達成できない場合に限り勾留することができるものとすべきである。


(4) 上記のほか、権利保釈の除外事由、勾留質問における弁護人の立会権、勾留の裁判に対する不服申立て及び起訴前保釈に関する刑事訴訟法改正を行うべきである。

 

(取調べ前に弁護士の助言を受ける機会の保障)


2 逮捕された被疑者に対し、取調べを受ける前に弁護士の助言を受ける機会を保障し、被疑者が申し出たときは、取調べを開始する前に、弁護士の接見をさせなければならないものとすべきである。そのために、逮捕された被疑者が公費による弁護士の派遣を請求できる制度を創設すべきである。

 

(勾留された被疑者の国選弁護人請求権の拡大)


3 刑事訴訟法37条の2から「死刑又は無期もしくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる事件について」を削除し、勾留状が発せられているすべての事件で、被疑者に国選弁護人の選任を請求する権利を認めるべきである。
 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)