「罹災都市借地借家臨時処理法の見直しに関する担当者素案」に関する意見書

2012年8月24日
日本弁護士連合会







本意見書について

日弁連は、この度、「罹災都市借地借家臨時処理法の見直しに関する担当者素案」に関する意見書をとりまとめ、2011年8月24日に、法務省民事局参事官室が実施するパブリックコメントに対し意見提出し、同年8月28日付けで法務大臣及び国土交通大臣に対し提出しました。


本意見書の趣旨

1 国は、「罹災都市借地借家臨時処理法の見直しに関する担当者素案」(以下「担当者素案」という。)の示した方針に沿って、罹災都市借地借家臨時処理法(以下「罹災法」という。)の改正を速やかに行うべきである。



2 担当者素案が提案する具体的事項については、以下のとおりとするのが相当である。


(1) 優先借地権制度及び借地権優先譲受権制度は廃止すべきである。


(2) 政令施行日から起算して18か月が経過する日までの間に、存続期間を5年以下とする「被災地一時使用借地権(仮称)」を新設すべきである。


(3) 借地借家法第10条の特例として、政令施行日から6か月間は借地権の対抗力を有し、その間に掲示を行った場合も対抗力を有することとし、ただし、政令施行日から5年経過後は対抗力を備えた建物を築造した場合に限るものとすべきである。



(4) 借地権の存続期間延長の制度は廃止すべきである。



(5) 借地権設定者の催告による借地権消滅の制度は廃止すべきである。



(6) 大規模災害で建物が滅失した場合に、政令施行日から1年間は、借地権者 から賃貸借の解約の申入れができる規定を設けるべきである。


(7) 大規模災害で建物が滅失した場合に、借地権者の借地権譲渡について、借地借家法第19条の制度に準じた裁判所の代諾許可の制度を設けるべきである。



(8) 優先借家権制度に代わり、①賃貸募集前に従前借家人への通知、②賃貸人の誠実交渉義務、③賃借申出があった場合に一定期間の第三者への賃貸禁止を内容とする「借家人事前交渉制度(仮称)」を新設すべきである。



(9) 賃借条件の変更命令制度は廃止すべきである。



3 国及び地方自治体は、前記「被災地一時使用借地権(仮称)」及び「借家人事前交渉制度(仮称)」の実効性を高めるために、補助金、助成金、家賃補助、税制優遇、行政手続・許認可の軽減、個人情報の共有、各種復興事業への組み込み等、制度の利用者の便宜に資する措置を積極的に講じるべきである。



4 国は、罹災法に関連する法律として、災害救助法(仮設住宅の供給)、建築基準法(仮設建築物の存続期間)、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(被災時のマンションの取扱い)についても、罹災法の改正と整合性を持つように見直しを図るべきである。

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