今後の消費者行政組織体制の在り方に関する意見書

2012年5月1日
日本弁護士連合会


 

本意見書について

日弁連は、2012年5月1日付けで「今後の消費者行政組織体制の在り方に関する意見書」を取りまとめ、内閣総理大臣、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、消費者庁長官、内閣府消費者委員会委員長及び独立行政法人国民生活センター理事長に提出いたしました。
 

本意見書の趣旨

政府及び国会は、以下のとおり消費者庁、消費者委員会、独立行政法人国民生活センターに関連した消費者行政の体制を整備すること。



1 消費者庁について


(1) 主務大臣(消費者担当大臣)を専任とすること。



(2) 法執行機能の強化及び消費者事故等調査の援助等を行うため、全国8か所に地方支局を設置すること。



(3) 企画立案機能を強化するため、法執行担当課に企画立案室を設置すること。



(4) 消費者の苦情や情報提供を自ら受け付けるため、独自の消費者相談・通報窓口を設置すること。



(5) 地方支局等の組織拡大に当たっては、所轄法の見直しとともに、食品Gメンなど既存の組織の統合も視野に入れつつ行うこと。



2 消費者委員会について



(1) 消費者庁を所管する消費者担当大臣とは別の国務大臣(仮称「消費者行政監視大臣」)を主務大臣とすること。



(2) いわゆる3条委員会に格上げし、建議・勧告等の権限行使の独立性を明記するとともに、予算提案権・事務局の人事権を持たせること。



(3) 事務総局を設置し、消費者問題について深い経験・知識を有する民間出身者から事務総長を選任すること。



(4) 一部の審議会機能については消費者庁への移行を検討すること。消費者庁に移行した場合であっても、審議委員の選任については消費者委員会の意見を聴くこととすること。


3 独立行政法人国民生活センター(以下「国民生活センター」という。)



(1) 「国民生活センター設置法(仮称)」に基づく法人として、政府が検討している独立行政法人に代わる法人とは異なる類型の法人として存続させること。法人の所轄機関としては、3条委員会としての消費者委員会や内閣府本府が考えられるが、いずれにしても主務大臣は消費者担当大臣以外とすること。



(2) 機動性・柔軟性確保の観点からの業務の独立性を明記すること。



(3) 地方への支援機能の中核である臨床機能を向上させるため、直接相談を復活させること。



(4) 仮に国の組織として位置付ける場合には、以下の事項について十分に配慮すること。



① 業務の機動性・柔軟性を確保するため、業務の独立性を確保すること。その際、独立性を規定した条文を形式的に置くにとどまらず、運用上も独立性が担保できる仕組みとすること。



② 現在国民生活センターが担っている機能を維持・充実させることができるのに十分な人員・予算を確保すること。その際、消費者庁と国民生活センターの各機能の重複が存在しないことを確認した上で、国への移行後も各機能の維持・充実ができるかどうかを個別的かつ実証的に検証しつつ行うこと。



③ 現在以上に消費者団体との協働・支援が求められることになるが、公務員としての守秘義務の発生等、行政組織への変更が、消費者団体との連携の障害とならないように十分な検討を行うこと。

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)