連鎖販売取引に関する法規制の強化を求める意見書

2012年4月13日
日本弁護士連合会


 

本意見書について

日弁連は、この度、「連鎖販売取引に関する法規制の強化を求める意見書」を取りまとめ、2012年5月8日に消費者庁長官、内閣府消費者委員会委員長に提出いたしました。
 

本意見書の趣旨

1 金融商品取引、商品預託取引に関する連鎖販売取引規制の明確化



特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第33条が連鎖販売取引規制の対象となる事業を「物品(施設を利用し又は役務の提供を受ける権利を含む。以下同じ。)の販売(そのあつせんを含む。)又は有償で行う役務の提供(そのあつせんを含む。)」と定めている点を改正して、連鎖販売取引規制の対象となる事業を、「物品の販売又は有償で行う役務の提供、その他全ての有償取引」と規定するか、少なくとも、「施設を利用し又は役務の提供を受ける権利以外の権利」や金融商品取引及び商品預託取引が対象になることを明確にすべきである。



2 借入金、クレジットを利用する連鎖販売取引の勧誘の禁止


特定商取引法第34条の禁止行為規定を改正して、連鎖販売取引における特定負担(商品の購入若しくは役務の提供の対価の支払又は取引料の提供)の支払方法につき、借入金による、又はクレジットを利用する契約の締結について勧誘することを禁止すべきである。



3 入会者数等、特定利益額の開示義務


特定商取引法第37条を改正して、連鎖販売取引の概要書面(同条第1項)及び契約書面(同条第2項)につき、次のものを記載事項として追加すべきである。


①直近の会計年度における入会者数・退会者数・期末の会員数


②直近の会計年度において、連鎖販売加入者(連鎖販売取引を店舗その他これに類似する設備によらずに行う個人に限る。)が収受した特定利益(年収)の平均金額


4 クーリング・オフ、契約の申込み又は承諾の意思表示の取消しの場合における統括者の連帯責任規定の追加


特定商取引法を改正して、連鎖販売契約(連鎖販売取引についての契約)のクーリング・オフ又は契約の申込み又は承諾の意思表示の取消しによって生ずる当該商品の販売を行った者の債務について、中途解約の場合(特定商取引法第40条の2第5項)と同様に、統括者の連帯責任の規定を設けるべきである。


5 善意の契約当事者に対する不実告知等に基づく意思表示の取消しを制限する規定の削除


連鎖販売契約の勧誘において、勧誘行為を担当する構成員が不実告知等の行為をした場合において、当該連鎖販売契約の当事者となる構成員(統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者)がその事実を知らなかったときは、連鎖販売加入者は、当該契約の申込み又は承諾の意思表示の取消しができない旨の規定(特定商取引法第40条の3第1項ただし書)を削除すべきである。


6 ピラミッド型連鎖販売組織の全面的禁止の検討



様々な組織形態で存在する連鎖販売取引のうち、先順位者が順次後順位者の出えんする金品から利益を受けることを内容とすることでピラミッド式に加入者を増加させる組織(以下「ピラミッド型連鎖販売組織」という。)については、射幸性や破綻必至性が特に強いことや、過去の裁判例においても無限連鎖講に該当するものと認定された事例が存在することから、特定商取引法の改正又は無限連鎖講の防止に関する法律(以下「無限連鎖講防止法」という。)の規定の明確化によって、当該組織の開設、運営、加入、加入することの勧誘及びこれらの行為を助長する行為を全面的に禁止することを検討すべきである。

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)