新しいエネルギー法制度の構築に向けた意見書

2012年2月17日
日本弁護士連合会


 

本意見書について

日弁連は、2012年2月20日付けで「新しいエネルギー法制度の構築に向けた意見書」を取りまとめ、同年2月20日付けで内閣総理大臣、環境大臣、経済産業大臣、国家戦略担当内閣府特命担当大臣等に提出いたしました。

 

本意見書の趣旨

第1 意見の趣旨



持続可能なエネルギー供給を実現するため、エネルギー供給制度の抜本的な改革を進める必要がある。



1 持続可能なエネルギー供給においては、再生可能エネルギーが中心的な役割を果たす。「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(平成23年法律第108号。以下「法」という。)が実効的な制度として機能するよう、その施行に際しては以下の諸点に特に留意する必要がある。



(1) 買取価格及び買取期間についての定めは、再生可能エネルギーの種類ごとに設置形態や規模の違いによる発電コストの差異を反映させたものであって、発電に要するコストの回収を確保した上で適正な利潤を保障するものではなければならない。



(2) 再生可能エネルギーによる電力の接続を拒否することが許されるのは、例外的ケースに限られなければならない。



(3) 再生可能エネルギー電力の買取りに伴う負担については、算定根拠が明確にされなければならず、国民に対して適切に情報が開示されなければならない。



2 真に持続可能なエネルギー供給を実現するためには、大量のエネルギーを安定的に製造することを重視してきた従前のエネルギー法制度を以下のとおり抜本的に改革する必要がある。



(1) エネルギー供給事業は、全面的に自由化する必要がある。



(2) 送配電事業を発電・小売事業から完全に分離する必要がある。



(3) エネルギーの低炭素化を進めるため排出量取引や環境税を早急に導入する必要がある。



(4) エネルギーの効率的利用を図り、供給状況に応じた消費の調整を促していく必要がある。



(5) 都道府県や市町村が主体となったエネルギー供給体制を構築していく必要がある。

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)