「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第4回)」に対する意見書

2011年9月16日
日本弁護士連合会


意見書について

2011年7月8日に最高裁判所は、第4回の「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」(以下「第4回報告書」という。)を公表しました。第4回報告書に対し、日弁連は、2011年9月16日付けで意見書を取りまとめ、最高裁判所ほかへ提出しました。

 

 

意見書の趣旨

  1. 第一審の審理期間が2年以内の民事裁判は全体の約97%となっており、迅速化法の求める迅速な裁判はほぼ達成されていると評価できるが、拙速な審理になっていないかは常に注意すべきであり、迅速化法が基盤整備法としての性格を有することを常に意識し、審理の適正・充実を確保する議論が不可欠である。


  2. 第4回報告書が、裁判官の手持ち事件の増加や事件の複雑困難化による裁判官の繁忙度の増大が、審理の迅速化や判断の適正、充実化のマイナス要因となることを認め、「継続的に相応の裁判官の態勢拡充を図る」ことの検討を進めるとしたことは高く評価できる。


  3. しかるに、施策提言は、主として大規模庁(東京、大阪など)における繁忙度の軽減と、裁判手続の効率化に力点が置かれており、利用者たる国民の立場から、裁判所の司法機能を抜本的に拡充しようとする視点が十分でない。


  4. 運用面の改善や手続の効率化だけではなく、迅速化法の基本的枠組に従い、裁判官の増員をはじめとする人的、物的基盤の整備、充実を強力に推し進める必要がある。


  5. 手続の運用改善を検討するにあたっても、効率化のみを求めるのではなく、あくまで国民の正当な権利利益の保護、充実した審理の確保の観点から、検討される必要がある。



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