新防衛計画大綱についての意見書

2011年9月15日
日本弁護士連合会


本意見書について

日弁連は、2011年9月15日の理事会で「新防衛計画大綱についての意見書」を取りまとめ、同年9月27日に内閣総理大臣、防衛大臣、外務大臣、衆議院議長及び参議院議長宛てに提出しました。

 

 

本意見書の趣旨

世界各地で果てしなく繰り返される戦争や地域紛争、そしてテロ行為は、いかに強大な軍事力をもってしても平和の構築が困難であることを示している。



また、全世界に広がる深刻な貧困や飢餓、そして頻発する大災害は、人々が平和のうちに生きるという目標を達成するために、軍事力は無力であり、平和的な国際協力こそが求められていることを教えている。



日本国憲法は、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」とし(前文)、戦争と武力による威嚇又は武力の行使を放棄し、戦力を保持せず、交戦権を否認し(9条)、武力によることのない平和を追求している。こうした憲法の徹底した平和主義の先駆的意義、今日的意義は、今まさに明らかとなっている。



立憲主義の原理から、憲法は統治原理として政府を規範的に統制するものであるから、その安全保障・防衛政策は、あくまで憲法前文および9条に立脚し、軍事力に頼ることなく平和主義に根ざしたものとして立案されなければならない。



しかるに、政府が2010年12月17日、閣議及び安全保障会議で決定した「防衛計画の大綱」は、「基盤的防衛力構想」を排斥して「動的防衛力」を構築することとし、PKO参加五原則などの見直しを検討するなど、これまでの安全保障・防衛政策の根幹を大きく変容させ、憲法前文および9条からさらに乖離させるおそれのある内容を含むものである。



日弁連は、安全保障・防衛政策の在り方について、憲法に立脚した国民的議論が行われるよう呼びかけるとともに、「防衛計画の大綱」について、国会において慎重な検討、審議がなされることを求めるものである。



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