「社会保障・税番号大綱」に関する意見書

2011年7月29日
日本弁護士連合会


要請書について

日本弁護士連合会は,「『社会保障・税番号大綱』に関する意見書」を2011年7月29日付けで取りまとめ,内閣官房社会保障改革担当室に提出しました。

 

要請書の趣旨

政府・与党社会保障改革検討本部は、2011年6月30日付けで「社会保障・税番号大綱」を取りまとめました。

 

全国民等に固有の番号を割り振る「共通番号」制度は、官民両分野に存在する膨大な個人情報を極めて容易に名寄せしうる(連携させる)、情報を管理する者にとっては便利なツールだと言われている一方で、情報を管理される国民等の側から見た場合、名寄せされる個人情報の範囲が広範になればなるほど、プライバシーに重大な脅威をもたらすツールとなることは疑いのない事実です。

 

「社会保障・税番号大綱」の問題点の要旨は、以下のとおりです。

 

問題点1
「共通番号」制の具体的な必要性や利用目的が、全く明らかとされていない。必要性や利用目的が具体的に明らかにされない限り、本制度によるプライバシー権などに対するリスク受忍の当否、費用対効果の妥当性等は検討できない。

 

問題点2
大綱は、個人情報の利活用の推進を優先し、プライバシー権(自己情報コントロール権)の核心的内容である、情報主体の「事前の同意」による情報コントロール権の保障をないがしろにしている。また、「共通番号」を民-民-官で広く利用することに伴うリスクを現実の問題として検討しておらず、示された対策も、極めて抽象的かつ不十分である。

 

問題点3
大綱は、具体的な利用目的が定まっていないことなどもあり、概略の費用対効果の検討すら示していないため、検証できない。

 

(本文はPDFファイルをご覧ください)