放射能による環境汚染と放射性廃棄物の対策についての意見書

2011年7月29日
日本弁護士連合会


意見書について

当連合会は、2011年7月29日付けで「放射能による環境汚染と放射性廃棄物の対策についての意見書」を取りまとめ、内閣総理大臣、環境大臣、厚生労働大臣等宛てに提出いたしました。


意見書の趣旨

放1 放射能による環境汚染と放射性廃棄物の対策についての権限と責務を明確化するために、環境基本法第13条を削除し、かつ、環境省の権限と責務であることを法律において明記すべきである。


2 放射能による環境汚染と放射性廃棄物の対策について、総合的な立法をし、放射能による環境汚染に対する網羅的かつ緻密な調査・監視、除染方法の確立、放射性廃棄物の処分方法の確立をすべきである。


3 放射性廃棄物かどうかを区別する基準については、現行のクリアランスレベルである10μSv/年を基本として定める値(セシウム137については、100ベクレル/kg)によるべきであり、したがって、100ベクレル/kg以上のものについては、放射性廃棄物として厳重な取扱いが必要であるものとすべきである。さらに、8000ベクレル/kgを超えるものについては、その移動・保管の際に、一般公衆の被ばく線量限度である1mSv/年を超えるおそれがあるので、特に厳重な取扱いが必要である。


4 放射性廃棄物の焼却をする前に、焼却処分施設の能力・性能について、適切な試験・検証をし、公開と参加の下で放射性廃棄物の焼却についての方針を決定した上で、なされるべきである。


5 放射性廃棄物の保管、埋立て処分については、環境影響評価手続の実施はもちろん、他の廃棄物と区別しての管理・特別な保管管理方式・継続的な監視管理体制の確立など、その特質と放射能濃度に応じた特別な保管、埋立て処分をすべきである。具体的な措置としては、国がある程度の広さの土地を買い上げ、そこに、指定放射性廃棄物の処理施設を作るべきである。


6 暫定的措置として放射性廃棄物を管理型処分場に保管する場合は、他と区別して容易に判別可能な形で、流出や飛散の防止をし、警告表示の上で行うべきである。また、放射性廃棄物の移動・保管のための労務作業については厳重な放射線量の管理がなされるべきである。



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