最低賃金制度の運用に関する意見書

2011年6月16日
日本弁護士連合会


本意見書について

日弁連では、2011年6月16日付けで「最低賃金制度の運用に関する意見書」を取りまとめ、同年6月22日付けで厚生労働大臣及び中央最低賃金審議会長に提出しました。


意見書の概要

1 最低賃金は、全国各地域における地域別最低賃金額が、人たるに値する生活を保障するのにふさわしい水準まで大幅に引き上げられるべきであり、生活保護基準の切下げによって「生活保護に係る施策との整合性」が図られるようなことがあってはならない。


2 生活保護に係る施策との整合性に配慮するにあたっては、


(1) 就労へのインセンティブを確保するために、生活保護に係る給付水準を上回るような最低賃金の水準を検討すべきである。


(2) 最低賃金と比較すべき生活保護の水準は、若年単身者のみならず、子どもの養育を行っている世帯も加えるべきである。


(3) 月間150時間程度就労に従事することを念頭に行うべきである。


3 最低賃金額の決定にあたっては、非正規労働者の生活の実態をより詳細に調査すべきである。


4 非正規労働者の割合が増加してきたという実態に照らし、中央最低賃金審議会、及び地域別最低賃金審議会の委員には、非正規労働者の利益を代表する委員を加える等の多様化を図るべきである。


5 最低賃金の大幅な引上げが、中小企業の経営に悪影響を与えないように、中小企業の生産性を高めるための施策及び中小企業と取引先企業との間の公正な取引確保のための諸施策が同時に実施されるべきである。

 

(※本文はPDFファイルをご覧ください)